うちの子(ペット)を路頭に迷わせないために①
一緒に住んでいる人間以外の動物のことをペットではなく「伴侶動物」「コンパニオンアニマル」などと呼ぶ方が増えているように思います。家族である”うちの子”をペットと呼ぶことに抵抗がある方もいらっしゃいます。かくいう私もうちの猫をペットと呼ぶのは少々抵抗があったり・・・。そんなことを言うと相手によっては「えっ!?」なんて反応が返ってきますが、まあ、あまり気にしません。ですからここではいわゆるペットのことを『うちの子』で通させていただきます。どうもすみません。
私事ですが、先日うちの猫を看取りました。7か月ほど通院を頑張ってもらったのですがついに治療の手がなくなり、最後は寄り添うことしかできませんでした。残念ですが、見送って、荼毘にふして、供養するまで自分の手でできて良かったと思います。順番が逆になってしまうとうちの猫の行く末が心配でおちおち成仏もできそうにありませんから。そして順番が逆になってしまっても皆さんの「うちの子」が路頭に迷わないように備えるお手伝いをしたくて行政書士になったという初心を思い出したりして、こんなブログを書いています。
「もしも自分に何かあったとき困らないよう自分とうちの子のために備えをしておきたい」というご相談をいただいたときは、お困りごとが発生するであろうお客様の状態を大きく4つに分けてそれぞれのシーンで必要な備えを考えていきます。
①心身ともに元気だけど少し不安がでてきた(見守り)
ご自身はお元気で色々なことを自分で判断できる。普段の生活で困ることはあまりないが、周りに頼れる家族がいなくなったり、少々足腰が弱くなったりと少し不安を感じる。急に入院になったらなどと考えると心配になることがある。
②まだまだ元気だけど少し不自由を感じるようになった(事務委任)
毎日の生活に不自由は感じないけれど、お役所や銀行の事務手続きをすることや、細かい字がびっしり書いてある契約書を読むことなどが面倒に感じるようになった。また、具合が悪くなる日がある、足が痛くて出かけたくないなど、ときどき不便も感じるようになってきた。うちの子のお世話もときどき手伝ってほしいと思う。①よりも不安と不便が大きくなった。
③自分で判断することが難しい状態になった(後見)
認知症や突然の事故、病気などで自分の意思を周りにちゃんと伝えることが困難になった。自分がそうなってもうちの子が快適に生活できるようにしてあげたい。
④ご自身がお亡くなりになったとき(遺言・死後事務委任)
うちの子よりも先に自分が亡くなってしまったとき。うちの子が安心して天寿を全うできるようにしてあげたい。
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④のご自身が亡くなった時の備えをお考えになる方は多いですが、①~③の状態のときの備えをされていらっしゃる方は少ないように思います。④の遺言書はお亡くなりになれば発行しますが、それまでは「うちの子」は飼い主さんに所有権があり、誰かが行く末を決めることはできません。ご自宅も勝手に入れませんので、他にお世話してくれる家族がいなければ何かあったときはおうちの中にいる子のお世話が途切れることになります。また、うちの子にかかるお金を自分のお財布から出すことも③の状態になると難しくなると思われます。ご本人の意思が確認できないとご本人の財産は誰も動かすことができないからです。日常のお世話くらいなら何とかなるとは思いますが、うちの子の病気やけがの治療費となると高額になることも多く、代わりに面倒を見る方の心身への負担も大きくなることから十分にケアしてあげられない可能性が高くなるように思います。うちの子の面倒を確実に見てくれるご家族などがいらっしゃれば安心ですが、そうでないときは①~③の検討もぜひなさってください。
なぜ①~③、特に②と③の検討をお勧めするのか。それは日本人の平均寿命と健康寿命には大きな差があるためです。平均寿命はご存じの通り亡くなる年齢です。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を言います。2016年の統計ですが、男性で8.84年、女性で12.35年の差があります。(公益社団法人生命保険文化センター HPよりhttps://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/3.html)男女とも10年くらいは②の中でも不自由さの度合いが重たい状態や③の状態が続くという統計になっています。10年は長いです。「うちの子」にしてみたらすごく長いです。飼い主さんがそういう状態になってしまってもうちの子が変わらず安心して暮らせるように準備できるのは飼い主さんだけなのです。
私は保護猫さんのお世話をボランティアで少々やらせていただいています。飼い主さんが亡くなった、施設に入った、長期入院となったなどの理由で行き場を失い保護猫となった猫さんをたくさん見てきました。私が出会った猫さんたちはボランティアさんに保護されて里親さんを見つけてもらえる機会を得た運のよい一握りの猫さんたちです。機会を得られなかった猫さんたちはどうなってしまったのか。考えたくありませんが多くは悲しい結末を迎えているのでしょう。
うちの子は愛する我が子同然です。しかし残念ながら人間ではないので家族以外は誰もその生命や生活を守ってくれません。誰もうちの子の「健康で文化的な最低限度の生活」は保障してくれません。ぜひご自身の手でうちの子の生活を守る備えをされてください。
①から④の状態の備えについて、ご相談を受けたときはその方のご事情や考え方を伺い、必要なものをご提案させていただいております。具体期にはそれぞれのシーンに対応する書類を作成して何かがあったときでも飼い主様の思いを実現できるように準備するお手伝いをしております。それぞれのシーンに対応する書類の詳細は次回のブログで記載させていただきます。